『同級生』シリーズはハッピーな余韻をずっと引きずる作品でしたが、本作はなんとも悲しくやり切れない思いが尾を引きます。日中に読むとその後なにも手につかないし、夜に読むと眠れなくなる。
ストーリーは、後妻の連れ子として比良木家にきた竹蔵と、竹蔵をつねに厳しく険しい態度で接する比良木家長男・忍のお話。忍に密かに思いを寄せる竹蔵はある日、忍の息子に唆され、義兄の部屋へ忍び込んで事を成す。そこから歪んだ関係が始まりーー。
歪な関係なのに2人の抑えきれない衝動にドキドキハラハラ。現在進行形の合間合間に挟まれる過去のエピソードも、2人のなんとも言えない関係性が表されていて、感情がぐちゃぐちゃになる。読んでいる間中ずっと感情が掻き乱されっぱなしなのだけど、ラストでそれが最高潮に…(ツライ)。
私は地雷ナシですが、近親相◯や死ネタNGの方はご注意ください。そうでない方にはバリくそオススメ。言葉やセリフを極力用いずに絵と行間や空気感で物語を展開させ魅了する明日美子先生、天晴れです。